こんにちは。ぱなしのお玲です。
まずはこちらをご覧下さい。
はい、どれも赤い洋服に、青のマントの組み合わせをした女性が描かれていますね。
キリスト教絵画では、聖母マリアを描くときには、教義上特別な意味が無い限り、赤い衣服に青いマントを着るというのが、ひとつのお約束になっています。衣服の赤は天の愛、マントの青は天の真実を象徴するとされており、
上に上げたラファエロの作品を見ても、画家がこのルールに従って、マリアを描いていることがわかります。
-『名画のすごさが見える 西洋絵画の鑑賞辞典』佐藤晃子著より
この『美しき女庭師』なんて、これを知らなかったら
- 庭師にしては手も荒れていないし、肌も白いし、なんだかヘンテコな絵だな
- うちで赤ちゃん見てくれる人がいなくて、職場に連れてきたのかな
- 裸ん坊はかわいそうだから、何か服着せてあげて
- ていうか、お母さんだけいい服着て、赤ちゃんなんで裸なの
- 服着せるときにすごいぐずったのかな
と思うだけだったでしょう!
(これはこれで楽しいですけど)
アトリビュートがわかった今、この絵を見たら「聖母マリアとイエスキリスト」以外には見えませんね!*1
そして、もしカズレーザーが青いマントを羽織ってテレビに出てくることがあったら、「むむっ!これは・・!」とすぐに気がつくことができます!(多分ないとは思いますが)
でも私、このブログを書くにあたって、たくさんの聖母子像をチェックしたんですけども、中には白い衣装に青いマントの組み合わせもいくつかあったんですよ。
- これって何か流派があるのかしら?
- 地域的なものかしら?
- 年代的なものかしら?
気になった私は、ググったり、本もいくつか読んでみたりして、おおよその見当が付きました。本の関連箇所をまずは抜粋します。
この絵は「無原罪の御宿り」というキリスト教の教義を絵画化したもので、その教えによると、マリアは天から降りて母アンナの胎内に宿り、生まれながらにして罪のない純潔な存在であると言います。
マリアはイエスを産んだ、選ばれた女性であるため、彼女自身の誕生にも、特別な物語があると考えられたのです。
この抽象的な教義を絵画化するには、いくつかの約束事がありましたが、ムリーリョは、絵を難解にしがちなそれらのルールを最小限にとどめ、愛らしく、親しみやすい聖母マリアを描きました。
ムリーリョの『無原罪の御宿り』は人気を呼び、このテーマを書いた作品の規範となったのです。
-『名画のすごさが見える 西洋絵画の鑑賞辞典』佐藤晃子著より
どうもですね、イエスキリストだけじゃなくて聖母マリアも神格化した宗派があって、私キリスト教に詳しくないんで、よくわかる人がいるならお聞きしたいんですけども、多分カトリックの一部の人ですかね。
マリアがイエスキリストを処女懐胎したように、マリアの母アンナもまた性行為によらずにマリアを妊娠したという説があります。それが『無原罪の御宿り』という教義です。
こういう超自然的なものを信仰する方がいらっしゃるということはわかります。
そういえば、学生時代にこの「無原罪の御宿り」は習った気がしますね。ルルドの泉*2の話もその時された記憶がありますが、正直あまりよく覚えていません・・・。ルルドの泉の話はちょっと長くなりますので、興味のある方はググって頂ければと思います。
話を元に戻しますと、この教義「無原罪の御宿り」を絵で表現するときには、別途ルールがあってどうやらそのルールにおいて、白い服と青いマントと定めているらしいのですよね。他にも、
- 足の下に下弦の月を踏んでいる
- 12コの星の冠を戴く
- 聖母は12~13才の少女であること
- 聖母は胸に手を当てているか、合掌している
などのルールがあります。これはフランシスコ・パーチェコさんが、著書『絵画芸術論』で定めたものなのですが、恐縮ですが、この本(一次資料)はチェックできておりません。アマゾンで売ってませんでした(仕方ない)。ちなみにパーチェコさんの描いた『無原罪の御宿り』はこちらです。
これらを踏まえて結論としましては
「一般的に聖母マリアの衣装は赤い服に青マント。一部例外あり。」
ということでまとめさせて頂きたいと思います。
今回の参考文献はこちら!
以上、
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
いつも感謝です(人•ᴗ•♡)